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田口 光正
放射線化学, (77), p.2 - 7, 2004/05
近年、高エネルギー重イオンの利用は原子核物理研究に留まらず、材料開発や生物学,医療などさまざまな分野へと拡大している。これら応用研究の基礎として、単一イオンについて、高エネルギー重イオンと物質との相互作用における物理過程(線量分布),物理化学過程(初期活性種の挙動)及び化学過程(ラジカルによる反応収率)について明らかにすることは非常に重要である。本論文では、水中での重イオン誘起化学反応について、これまでに行われてきた研究成果を、線量分布,平均反応収率,微分反応収率及び初期活性種挙動の4つテーマに分けて、それぞれ現状や動向,今後の研究課題等について展望を述べる。
木暮 広人; 反田 孝美; 岩本 清吉; 永田 靖*; 平岡 真寛*; 岩田 和朗*; 河内 幸正*; 鈴木 一寿*
JAERI-Tech 2003-003, 26 Pages, 2003/03
血管内小線源治療は、低線量の放射線照射を用いた冠動脈再狭窄症に対する新しい治療法である。平成10年度から原研と京都大学は「冠動脈再狭窄症に対する血管内小線源療法の安全性と有効性に関する研究」を協力研究として開始し、臨床用Ir線源の開発を進めている。この線源は、狭窄部にカテーテル(血管内に直接挿入する線源誘導チューブ)を介して導入し、病変部の照射を行うことを目的としている。開発した血管内照射用線源は、柔軟な被覆チューブ内にIrシード線源(0.4mm2.5mm)とスペーサ(0.3mm1.0mm)を各10個程度交互に配置した後にコアワイヤ(芯線)を配置して収縮固定した構造で、直径0.46mm,全長約3mである。血管内挿入のための線源追随性試験と病変部の均一な線量分布を得るための試験により物理的に最適なデザインを決定し、臨床応用可能な血管内照射用小線源の製造方法を確立した。
遠藤 章; 山口 恭弘; 石榑 信人*
JAERI-Research 2001-035, 83 Pages, 2001/05
東海村のウラン加工施設において発生した臨界事故では、現場にいた3名の従業員が重度の放射線被ばくを受けた。このうち、沈殿槽にウラン溶液を投入する作業を行っていた2名は、中性子と線が混在する核分裂線源近傍において、著しく不均等に被ばくした。これらのことが、この2名の臨床症状に深く関係していたと推定されている。したがって、2名の重度被ばく患者に対しては、臨床症状との対比のために、部位ごとの中性子及び線による線量分布の情報が不可欠である。原研では、放医研との共同研究として、被ばく時の位置、姿勢を模擬した計算シミュレーションを実施し、重度被ばく患者の線量分布を詳細に解析した。本解析結果は、中性子及び線高線量被ばく時の人体影響の解明、その治療法等、学術面での研究の進歩のために利用されると期待される。
中根 佳弘; 坂本 幸夫; 原田 康典
JAERI-Review 2000-024, TIARA Annual Report 1999, p.262 - 264, 2000/10
加速器施設の遮蔽設計に重要な中間エネルギー領域中性子に対する線量評価手法を確立するため、これまでにTIARAの40及び65MeV準単色中性子入射による平板ファントム内での中性子束分布を測定し、計算結果と比較して良い一致を得ている。今回はファントム内での吸収線量を人体組織等価型の比例計数管及び電離箱により測定するとともに、粒子輸送計算コードによる解析結果と比較した。15MeV以上の中性子に対してはHETC-3STEPコードにより2次粒子が検出器に付与するエネルギーから吸収線量を求めた。一方で15MeV以下の中性子に対してはMORSE-CGコードとJENDL-3.1を処理した100群の断面積からファントム中での中性子フルエンスを計算し、これに中性子Kerma係数を乗じて吸収線量を得た。得られた計算結果は実験値を概ね10%以内で一致した。
中根 佳弘; 坂本 幸夫
Proceedings of 10th International Congress of the International Radiation Protection Association (IRPA-10) (CD-ROM), 5 Pages, 2000/05
加速器施設の放射線安全設計において重要な数10MeV領域中性子に対する線量評価法を確立するため、TIARAの40及び65MeV準単色中性子がプラスチック平板ファントムに入射した際の吸収線量分布人体組織等価型比例計数管を用いて測定した。また、この結果から平均線質係数及び線量当量を求め、粒子輸送計算コードによる計算結果と比較した。15MeV以上の中性子に対しては、HETC-3STEPコードによる2次荷電粒子の沈着エネルギー分布計算から吸収線量を算出し、15MeV以下の中性子に対してはMORSE-CGコードによる中性子スペクトルとKerma係数から吸収線量を計算した結果、吸収線量計算値は実験値をおおむね10%以内で再現した。また平均線質係数及び線量当量の計算結果は、実験値を16%及び21%以内で再現したことから、数10MeV領域中性子に対する線量当量の評価計算精度は20%程度であることがわかった。
遠藤 章; 山口 恭弘; 佐藤 理*; 石榑 信人*
ウラン加工工場臨海事故に対する環境測定・線量推定 (NIRS-M-150), p.163 - 175, 2000/00
JCO臨界事故において、沈殿槽周辺で作業を行っていた2名の作業者については、中性子及び線混在場で著しい不均等被ばくを受けたことが、臨床症状に深く関係していたと考えられている。そのため、身体部位ごとの中性子、線それぞれの線量寄与と、症状との関係を明らかにすることは極めて重要である。そこで、モンテカルロ計算手法及び数学ファントムを用い、作業時の位置及び姿勢を模擬した臨界事故時の詳細線量評価手法を開発し、人体内の線量分布、Na生成量等に関する解析を実施した。本解析結果は、高線量被ばくがもたらす医学的影響の解明及びその治療法の進歩に寄与するものと考えられる。
清水 滋; 高橋 史明; 澤畠 忠広*; 當波 弘一*; 菊池 寛*; 村山 卓
JAERI-Tech 99-004, 89 Pages, 1999/02
(X)線用の放射線測定器の性能試験及び校正には、光子エネルギー10keVから300keVの領域において、X線発生装置から発生する連続X線をフィルタでろ過し、エネルギースペクトルを単色化させたX線校正場を使用する。このため、X線校正場の線質条件としては、実効エネルギー、均等度及び線質指標を評価する必要がある。本報告書では、東海研究所放射線標準施設等に設置した校正用X線発生装置のX線校正場の約60線質の設定結果及び各線質の照射線量率、1cm線量当量率、フルエンス率単位のスペクトル分布を明らかにし、並びに照射野の線量・スペクトル分布の一様性及び照射場の散乱線の影響等を明らかにした。これらの結果、X線線質等の詳細な特性データが明らかになり、X線校正場の品質及び校正精度の向上が図れた。
貴家 恒男; 工藤 久明; 瀬口 忠男
Polymer, 40, p.5095 - 5102, 1999/00
被引用回数:25 パーセンタイル:68.21(Polymer Science)高エネルギーイオンを高分子フィルムに均一に大面積照射するチェンバーを設計・製作した。10cm10cmの線量計フィルムを用いて線量分布を計測したところ、きわめて均一に照射されていることが明らかになった。ポリエチレン(PE)、芳香族ポリサルホンPSF及びPESに対し10MeV陽子、20MeV He、220MeV Cイオンを照射した試料の引張り試験を行い、2MeV電子線照射の結果と比較した。脂肪族高分子であるPEのイオン照射による力学特性変化は電子線照射のそれと変わらなかったが、PES及びPSFでは線量当たりの機械特性変化が少なくなることが明らかとなった。照射温度による特性変化等を考察し、芳香族高分子では線質効果が現れやすいと結論した。
辻村 憲雄; 篠原 邦彦; 百瀬 琢麿
PNC TN8410 98-083, 20 Pages, 1998/05
東海事業所では、放射線業務従事者のモニタリング期間は原則的に3カ月間であるが、プルトニウム燃料取扱施設等で作業を行う者については短期間に比較的高い被ばくを受ける可能性があるため1カ月毎に個人線量計を交換し、被ばく管理を行っている。しかし、モニタリング期間を3カ月間から1カ月間に変更する際の具体的な条件はこれまで設定されていない。本研究では、平成7年度の1カ月管理者の被ばく実績値を基に、モニタリング期間を1カ月から3カ月に変更した場合の被ばく線量当量分布を試算し、有意値として記録される割合の変化を調べた。その結果、3ヶ月間の合計線量が0.3mSvに満たない程度の線量レベルであれば、1カ月管理にする必然性は小さいことが分かった。
沢村 卓史*
PNC TJ1600 97-001, 77 Pages, 1997/03
核燃料施設の環境評価項目の1つとして、施設力からの直接線およびスカイシャイン線による線量評価がある。この線量評価は遮蔽計算コードにより解析が行なわれている。しかし、ベンチマーク実験が極めて少ないこと等もあり、評価においては、充分な安全裕度が見込まれている。このため、合理的な評価を行うためには、スカイシャイン線に係わる実測データの取得が不可欠である。本研究は施設からのスカイシャイン線のベンチマークデータの取得および各種計算コードの検証を目的として実施するものである。今年度は、作成した同期型パルス状放射線測定装置を用いて、北大45MeV電子線形加速器施設周辺の線量分布測定を、漏洩ガンマ線の平均自由行程の約10倍程度の距離(約600m)にわたって実施することにより、施設周辺におけるスカイシャインの影響を明らかにするとともに、汎用ユーザーズ版EGS4コードにより北大45MeV施設のスカイシャイン線の評価を行い、実験結果との比較検討を行うため以下の研究を行った。・電子線加速器から発生する制御X線を線源とし、作成した同期法パルス状放射線測定装置を用いて、施設から西方向350m、南方向100m、北方向600mにわたるスカイシャイン線の測定を行った。測定結果はG(E)関数法により空間線量率に換算された。その結果、施設から70m以内、100m-400mの区間および400m以遠では異なる空間変化を示すことが分かった。・汎用版EGS4に備えられたポイント検出器を用いて、北大45MeV電子線形加速器施設からのスカイシャイン線評価のためのシミュレーションを行った。・シミュレーションの結果と実験結果とを比較検討した。双方のデータに未だ統計誤差を含むが、70m以内の実験データとの比較には、施設の構造をより反映した幾何学的形状が必要である。しかし、本シミュレーション結果は100m以遠の実験結果をよく再現することが分かった。
沢村 卓史*
PNC TJ1600 96-003, 77 Pages, 1996/03
核燃料施設の環境評価項目の1つとして、施設からの直接線およびスカイシャイン線による線量評価がある。この線量評価は遮蔽計算コードにより解析が行われている。しかし、ベンチマーク実験が極めて少ないこと等もあり、評価においては、充分な安全裕度が見込まれている。このため、合理的な評価を行うためには、スカイシャイン線に係わる実測データの取得が不可欠である。本研究は施設からのスカイシャイン線のベンチマークデータの取得および各種計算コードの検証を目的として実施するものである。今年度は、作成した同期型パルス状放射線測定装置を用いて、北大45MeV電子線形加速器施設周辺の線量分布測定を、漏洩ガンマ線の平均自由行程の約10倍程度の距離(約600m)にわたって実施することにより、施設周辺におけるスカイシャインの影響を明らかにするとともに、汎用ユーザーズ版EGS4コードにより北大45MeV施設のスカイシャイン線の評価を行い、実験結果との比較検討を行うため以下の研究を行った。・電子線加速器から発生する制動X線を線源とし、作成した同期法パルス状放射線測定装置を用いて、施設から西方向350m、南方向100m、北方向600mにわたるスカイシャイン線の測定を行った。測定結果はG(E)関数法により空間線量率に換算された。その結果、施設から70m以内、100目-400mの区間および400m以遠では異なる空間変化を示すことが分かった。・汎用版EGS4に備えられたポイント検出器を用いて、北大45MeV電子線形加速器施設からのスカイシャイン線評価のためのシミュレーションを行った。・シミュレーションの結果と実験結果とを比較検討した。双方のデータに未だ統計誤差を含むが、70m以内の実験データとの比較には、施設の構造をより反映した幾何学的形状が必要である。しかし、本シミュレーション結果は100m以遠の実験結果をよく再現することが分かった。
来島 利幸*; 中瀬 吉昭
Radiat. Meas., 26(2), p.159 - 168, 1996/00
被引用回数:4 パーセンタイル:39.42(Nuclear Science & Technology)パソコンレベルで、入射電子の単一散乱モデルに基づく挙動を計算できるモンテカルロコードを開発した。多層構造の物質に入射した300keV電子のエネルギースペクトル、角度分布、深部吸収線量分布を計算した。一部の計算結果については、実測値と比較しよい一致を確認した。試料を静止した状態で照射した場合と移動状態で照射した場合について比較し、基材の影響等を明らかにすることができた。
池田 裕二郎; A.Kumar*; 今野 力; 小迫 和明*; 大山 幸夫; 前川 藤夫; 前川 洋; M.Z.Youssef*; M.A.Abdou*
Fusion Technology, 28(1), p.74 - 98, 1995/08
ITER等の核融合装置では、D-T燃焼に伴う構成材の放射化が炉の線量分布、崩壊熱、廃棄物評価など、環境安全性の観点から重要な問題として認識されており、設計に用いる誘導放射能計算コードのみならず放射化断面積などのデータベースの整備と共にその精度確認が急がれている。その要請に応えるために、日米共同実験の一環として、D-T中性子環境を模擬したスペクトル場で、一連の核融合構成候補材の誘導放射能ベンチマーク実験を進めてきた。実験データを基に、JENDL,CROSSLIB(日本)、REAC3(米国)などの放射化断面積ライブラリーを用いた解析を行い、C/E値から計算の予測精度の妥当性試験を行い、設計への適用性の判断基準としての有効性を示した。本件では、日米共同実験の共同論文として、主に構造材についての詳細な結果を報告する。
来島 利幸*; 小寺 正敏*; 菅 博*; 中瀬 吉昭
IEICE Trans. Electron., E78-C(5), p.557 - 563, 1995/05
単一散乱モデルを使用したモンテカルロ計算を行い、300keV電子加速器のTi窓、その下の空気層及び三酢酸セルロース(CTA)内の電子の振る舞いを求めた。Ti窓、空気層を通過してCTA表面に入射した300keV電子のエネルギースペクトル、角度分布及び各種基枚上に置いたCTA中の深度線量分布等を求めた。これらの計算結果のいくつかは実測値と比較し、両者が良く一致することを示した。
沢村 卓史*
PNC TJ1600 95-004, 51 Pages, 1995/03
核燃料施設からの直接線およびスカイシャイン線による線量評価は、施設の環境評価項目の1つに位置づけられており、遮蔽計算コードにより解析が行われている。しかし、ベンチマークデータが極めて少ないこと等もあり、評価においては十分な安全裕度が見込まれている。このため合理的な評価を行うためには、スカイシャイン線に係わる実測データの取得が不可欠である。本研究は、施設からのスカイシャイン線のベンチマークデータの取得および各種計算コードの検証を目的として実施するものである。今年度は、同期方式によるパルス状放射線測定装置を作製し、北大45MeV電子線型加速器施設内の線量分布測定を実施することにより、作製した装置がスカイシャイン線による線量測定に有効であることを実験的に明らかにすると共に汎用ユーザーズ版EGS4による北大45MeV施設のスカイシャイン線評価への適用を検討するため以下の研究を行った。・同期法によるパルス状放射線測定装置を作製し、ゲート動作の有効性とバックグランド低減率の測定等の基礎実験を行った。その結果、ゲートパルス幅が10S時において約1.510-3の低減率を得た。・北大45MeV電子線型加速器施設内の建て屋内外の線量分布測定を実施した。その結果、バックグランドレベルの1/20-1/250のレベルの施設からの放射線を短時間で精度良く評価できることが実証された。・EGS4による北大45MeV電子線型加速器施設からのスカイシャイン線評価のためのシミュレーションを行った。その結果、約400m以遠において多重散乱の効果が大きくなることが示された。
W.H.Chung*; 小嶋 拓治; 岡本 次郎*
Radioisotopes, 43(5), p.278 - 282, 1994/05
メチレンブルー(MB)及びメチルオレンジ(MO)で着色した厚さ約20mのポリビニルアルコール(PVA)フィルムについて、低エネルギー電子線(150-300keV)に対する線量応答を調べるとともに、これらを用いた深度線量分布測定を行った。線量応答には、MB/PVA及びMO/PVA、それぞれ、波長662nm及び434nmにおけるピークの吸光度変化(減少)を用いた。線量応答曲線において、MB/PVAは約30Gyまで、MO/PVAは約300kGy以上まで良い直線性を示した。深度線量分布測定では、EDMULTコードによる計算結果との比較を行い、いずれのフィルムも比較的よく一致することを明らかにした。
清水 滋; 南 賢太郎
Proc. of an Int. Symp. on Measurement Assurance in Dosimetry, 0, p.649 - 657, 1994/00
各種放射線測定器の特性試験には、光子エネルギー300keV以下の照射にX線発生装置を使用する。X線発生装置によるX線は、連続スペクトルを発生しているため、適当なフィルターでろ過しスペクトルを単色化して放射線測定器の特性試験に利用する。この場合、X線の照射野における線量分布及びエネルギースペクトル分布は、X線の単色化の程度により大きく変化し、照射野の不均一性が生じて個人線量計やサーベイメータ等の照射試験精度に大きく影響を及ぼすことを明らかにした。また、本調査結果から、照射野の水平軸の線量分布とエネルギースペクトル分布が大きく変化することを解明し、照射野の均一分布の範囲を明確にした。
耒島 利幸*; 中瀬 吉昭
Applied Radiation and Isotopes, 44(4), p.693 - 699, 1993/00
被引用回数:3 パーセンタイル:38.1(Chemistry, Inorganic & Nuclear)走査型照射用電子加速器を用いた、300keV電子線に対する多層吸収体の深度線量分布の測定を行った。多層吸収体としてはTi-air-cellulose triacetate(CTA)と基板である。このうち、CTAを試料としてコンベアを用いた動的照射とビーム取り出し窓下に固定した静的照射を行い、深度線量分布を比較検討した。また、ビーム走査方向についても両方法で測定した。動的照射に比べて静的照射では、線量のピーク値が深部に存在することがわかった。斜め入射効果を調べるために入射角度を変えて上記両方法で比較検討した。
河合 勝雄; 山口 武憲; 佐々 陽一; 片桐 浩; 押野 昌夫
保健物理, 28, p.203 - 209, 1993/00
国際放射線防護委員会(ICRP)は、Publ.26を改訂し、1990年勧告として、新線量限度、線量拘束値等を示した。現在、この新勧告を我が国の法令に反映させるための検討が関係省庁において進められている。この時期に、我が国の職業被ばくの現状を把握しておくことは、原子力、放射線利用の産業分野における放射線防護計画の立案、被ばくの低減化を進めていく上において、またICRP勧告等の放射線防護基準への適応性を検討する上において重要である。本稿は、我が国の原子力、放射線利用の各分野(原子力発電、医療、工業及び研究・教育等)における過去15年間の職業被ばくに関して、施設数、従事者数及び従事者の年平均線量、集団線量の年度推移を明らかにするとともに、個人線量分布を解析し、各分野における被ばく低減化の現状と、1990年勧告の新線量限度を放射線防護法令に取り入れた場合の適応性について検討し解説したものである。
熊沢 蕃
日本原子力学会誌, 34(10), p.931 - 936, 1992/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)職業被曝の評価は、原子放射線の影響に関する国連科学委員会の1977年報告以来、いろいろな機関で広く行われるようになって来た。現在、国連科学委員会では1975-1990年間の動向を明らかにすべく検討を進めている。また、ICRP新勧告に対応し、我が国においても職業被曝の実態調査が一部行われている。そこで、本稿では、日本の職業被曝に関して、国民線量への寄与、対象人員の長期動向、産業分野ごとの被曝の年代推移及び年線量分布の特徴、ICRP新勧告が与える影響の評価、今後の検討課題などについて解説を行った。とくに、1990年には約30万人のモニタリングされた職業被曝の人員が我が国におり、全員の平均年線量は0.5mSvで、うち検出限界線量以上の被曝者による平均線量は1.7mSvであることを示した。